Lalahをみたよ<NOLA – Day 03>

ニューオリンズは、暖かく天気がよくて過ごしやすい。日中は気温が26度まであがり、湿気もそこそこと、ほどよい暑さの夏日が続いている。前回ニューオリンズに来た6月は連日34度を超え猛烈に暑かったし、とにかく雨が多くて外出できない日もあったので、それに比べると今回は非常に快適である。

さて、天気はよいし、わざわざニューヨークからカメラの三脚も持ってきたということもあり、ホステル内でアルバム用の宣材写真を撮ることにした。チェックアウトの時間が過ぎて人気の薄くなる午前11時半過ぎを狙って、テラスや共用室にて写真を撮影した。もちろん全部自撮りである。日本だとこの行為は非常に恥ずかしいのであるが、なんせここは外国である。ぜんぜん恥ずかしくない。通り過ぎるスタッフや宿泊客も、へー写真撮ってるねくらいの反応である。

わたしは常に自分のアーティスト写真は自分で撮っているのだが、毎回数百回に及ぶシャッターを切って奇跡の一枚があればいいほうであるため、軽く2時間はかけて写真撮影をした。撮り終えてそれらの画像を確認したところ、映った自分の姿を見て、やはり年齢を重ねているなあとしみじみ思う。数年前よりも小皺は増え肌は衰えているし、体重も随分と増えている。しかしこれもまた経年変化である。別に嘆かわしいことでも何でもない。若さゆえの美しさもあれば、年齢を経るごとに刻まれる美しさもあるのではないかと日頃から思っている次第である。

撮影に疲れて少しだけ仮眠をとったあとは、中心街であるフレンチ・クオーターでお土産を物色することにした。路面電車から降り立ってカナル・ストリートを横切り歩みを進めていくと、たくさんの土産物屋があった。しかし、どれも置いているものは大体同じようなもので、価格もさほど変わらない。それでも時々、面白いものを発見することがあって、そんなときはお土産ハンターとしての本懐を遂げたりと満足する。また、今回アルバムに参加していただくセイゾーさんがフレンチ・クオーター内のお店で演奏しているということなので、お会いして写真を撮った。タイミングが合えば滞在中にご飯でも、というお話をして別れる。そのあともまたお土産ハンターとして街を練り歩いていたのだが、実のところ本日のメインイベントは、Lalah Hathawayを見にゆくことである。たまたまニューオリンズのライブ情報を確認していたところ、House of BluesでLalahの演奏があることを知り、速攻でチケットを予約したのである。

18:30には会場前の列に並び、19:00には店の中に入る。Lalahの出演時刻である21:00までかなりの時間を待っていたのだが、前日に3時間ほどしか寝ていなかったため眠くて仕方がなく、何度か目を開けながら幻影や幻聴のような夢を見た。また、立っている際にすら訪れる強烈な眠気に耐えきれず、何度も膝をがくりと折った。前座で地元のハウスバンドとDJによるパフォーマンスがあったのだが、その際に眠気は最高潮に達する。ハウスバンドの歌はそれなりに上手いのだけれど何だが全体的に安っぽくてこの場所で見る必要は感じられなかった。一方で、DJプレイはとても面白かった。有名曲のインストというかカラオケみたいなものを細切れに流し、その場の観客にいちいち大合唱させて盛り上げている。これなら前座として意味をなしているだろう。

眠気に苦しむ待ち時間が終わり、いよいよLalahの登場である。大きな歓声と拍手によって迎えられた彼女は、少し体格はよいものの、顔がむちゃくちゃ可愛かった。本当に可愛くて、好きになってしまいそうである。そして、見た目もさることながら、当たり前に歌は極上である。ひと声発した時の静かで深いエネルギーが力強く会場を包み込む。本物だーと感動しているうちに、Summertimeの演奏が始まり、ゲストボーカリストとしてDee Dee BridgewaterとLedisiが登場して見事に歌いあげた。Dee Deeはかなり年老いているように見えたが、さすがの圧巻たるパフォーマンスで、ここでもまた胸が熱くなる。

彼女たちが去って数曲を経たのち、わたしの大好きなJoe Sampleとのアルバム「Song lives on」から、When your life was lowが歌われた。そのアルバムの中ではそんなに好きな曲ではなかったはずなのだが、歌いはじめから次から次へと涙が溢れて止まらなくて、首にまで何本もの涙の筋が流れた。最高じゃないか。この1曲を聴けただけでも、わざわざニューオリンズまでやってきた価値があるというものだ。演奏が終わり、会場を後にして通りに出ると、さきほどのDee Deeが男性と腕を組みながら、わたしの向かうところと同じ方向へと歩いていた。行く方向が別れるまで、わたしは街灯に照らされる彼らの背中をぼんやりと見つめながら数メートルほど歩いた。なんだか不思議な夜だった。

眠かったけれどもかなり空腹だったので、路面電車に乗る前にPopeyes Louisiana Kitchenでフライドチキンを買い、ホステルに帰着した後に食べた。お気に入りのAbita Amberでチキンを流し込んだ後は、泥のようにベッドに沈みこんで大きな眠りを貪った。

ところで、出国してからおよそ一週間が経過した。きっと残りの一週間もあっという間なんだろう。きっとまたいつかこの日々のことを思い出して、またニューオリンズに行きたくなるのかもしれないし、そうでもないかもしれない。でも、このままニューオリンズが好きだなという気持ちは根底にあるんだろうな。ありがとう。

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